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環境学としての色彩の話

個性別・色彩の影響


人間の個性の分類

人間にはそれぞれ、性格というものがあります。そこで今回は、目に見える性格、行動パターンを幾つかに分類して考えてみます。
人間の性格というのは複雑なので、それらの要素を単純に分類するというのはなかなか難しいのですが、思いつくままに、外に見える部分の性格を挙げてみようという、一つの試みです。

1:外交的か内向的か
2:大胆か小心か
3:自信過剰か自信がないか
4:楽天的か神経質か
5:明朗か陰鬱か


少し乱暴な嫌いもある分類法ですが、じつはこれは、五行にのっとった分類です。木火土金水の順番になっています。


1:外交的か内向的か(木性)

木性というのは、外に向かって出てゆく、発展するというのが主な意味なので、外交的であるかないか、働きかけが積極的であるかないか、というのが、木性のウィークポイントです。
外交的か内向的か?というのは、おおまかに言えば陽か陰かの違いで、実か虚か、あるいはプラスかマイナスか、という違いでもあります。これらは必ずしも、プラスが良い、マイナスが悪いという意味ではありません。外に出てゆけば発展性もある代わりに、それなりのリスクが伴いますし、閉じこもっていれば発展性はない代わりに安全でもあるわけです。
陰陽はどんな場合でも同等であり、他の五行の場合にも同じです。


2:大胆か小心か(火性)

火は物凄い勢いで燃え盛ったり、逆に跡形もなく消えてしまったり、落差の激しいものです。表面に出るか出ないかが極端です。これは人間の性格で言えば、一か八かの勝負に出る性格とつながっています。
大胆であるというのは、肝が据わっているという見方も出来ますが、ある意味では無謀な賭けに出ることでもあります。
この一か八かの山師的な部分を、大胆か、或いは逆に小心であるかという要素にしました。


3:自信過剰か自信がないか(土性)

土性というのは非常に性が強く、本質的には変化せず、人間で言えば頑固な性格です。この頑固さが人間社会に於いては、自信のあるなしにつながります。自信があれば、逆境にあってもくじけない性格となり、雅量のあるゆったりした性格となります。
逆に自信がない場合は、いろいろと細かく人に気を使う反面、一人で思い悩んだりして猜疑心の強い性格につながります。土の性格にもいろいろあって、どっしりとして動かない山、激しく全てを押し流す土砂崩れ、暖かく万物を育みまた自然に還す畑の土…などいろいろあります。しかし共通して言えるのは、結局は変化しない、自分が主体である、ということです。<自分>が土性のキーワードかもしれません。


4:楽天的か神経質か(金性)

少し分かりづらいですが、金性というのは本来は「亨る(とおる)」というのが基本的な性質です。分かりやすく人間の性格にあてはめると、、「打てば響く」というような鋭敏さやカンの良さ、切れ味の良い判断力が身上です。
余計なものを切り捨てて、サッパリと割り切りの良い性格だと楽天的になりますし、細かいことに影響されすぎてピリピリしていると、神経質な性格になります。
楽天的でサッパリしているのと、神経質で細かいのは、表裏一体の性質なのです。


5:明朗か陰鬱か(水性)

こちらは一見して分かりやすい感じですが、意外と奥の深い問題です。明朗か否かというのは、一般的によく使う表現ですが、何をもって「明るい」というのか、少し曖昧です。ただの「明るい」ならば、火性に分類されそうなものですが、明朗というのは「気分が浮き浮きしている」というように、上・下、高・低、軽・重に分類される問題です。
つまり、気分が浮いているか沈んでいるか、軽いか重いか、という問題で、これは水性です。
水は一般的には下へ下へと流れますが、熱すると逆に、水蒸気になって上に上ります。他には上に上ったり下に沈んだりする五行はないので、なかなか面白い現象です。



以上、何となく思いつきのような分類をしましたが、じつはこれは、かなり根拠のある話です。五行説のポイントは外れていません。
これらのいろんな性格の人が、色の影響をどう受けるか、考えてみるとなかなか面白いテーマです。
同じ五行でも、単純にある色と相生・相剋の関係にはなりません。一つの根っこがどんな発育のしかたをしているか、それによってまるで違う結果になります。薬と毒が紙一重であるのと同じに、同じ五行であっても、色から受ける影響がまるで違います。


五行別に、影響のしかたを一覧表にしてみました。

木性の人と色彩の関係(肝体質)
. 外交的な人 内向的な人
大胆で開放的、行き過ぎになる 積極性が出て、表現力が増す
謙虚になり持久力が出る 遊び心に乏しく、暗くて用心深くなる
敏捷で鋭利になる 神経質になる。注意力が増す
短慮になり、浮わついてくる 明智が出て、活動的になる
青・緑 内的パワーを蓄積するが消極的になる 思考力が増し、創造力が出る



火性の人と色彩の関係(心体質)
. 大胆な人 小心な人
更に意欲的に行動する 大胆で明朗になる
堅実になり正確性が増す 臆病になり、孤独で陰気になる
敏感になって注意力が増す 神経質になり怒りっぽくなる
活発だが落ち着きが無くなる 意欲的になり実行力が増す
青・緑 沈着冷静になり安定して包容力が出る 落ち着きが出て底力が増す



土性の人と色彩の関係(脾体質)
. 自信過剰の人 自信のない人
衝動的になり、熱狂しやすくなる 雄大な気分になり、積極性が出る
頑固で陰険になり、邪心が出る 迷いが多くなり、憂鬱な気分になる
純粋な気持になり正義感が強くなる 不安定な気分になり自信がなくなる
軽率になり気が移りやすくなる 行動的になるが落ち着きがなくなる
青・緑 落ち着きが出るが消極的になる 落ち着きが出て安心できる



金性の人と色彩の関係(肺体質)
. 楽天的な人 神経質な人
開放的になり過ぎ、物事に怠慢になる 円満・明朗になり、優雅さも出る
堅実性が増し、勤勉になる 警戒心が強くなり、狭小な気持になる
敏感、敏捷になる。注意力が増す 苛立ちやすく先鋭化しヒステリックになる
発展的になり献身的になる 刺激されやすく不安定で短気になる
青・緑 慎重になり、寛大な気分になる 落ち着きが出て内的パワーが増す



水性の人と色彩の関係(腎体質)
. 明朗な人 陰鬱な人
雄大な心になり行動意欲が増す 明朗で円満になる
堅実で沈着になる 陰険で狭小な性格になる
潔癖になり、鋭利さが出る 潔癖になるが、怒気を増す
活発になり理知的になる 発展的で活発になる
青・緑 慈愛心と包容力が出て理知的になる 落ち着きが出て思考力が増す


私はどの五行?

さて、上の表の読み方が問題です。まず、自分の五行がどれに当たるかを見るわけですが、その判断法はいろいろあります。
まず、普段から体の中で故障しやすい部分、弱い臓器や既往症がある場合、その五行があなたのウィークポイントの五行になります。
臓器と五行の関係は、上の表の中にもありますが、まずからだこころと五行五気」の章を読んでみて下さい。この章にはいろんな要素が詰め込まれているので、全部を理解するのは大変だと思いますが、何か発見があるかもしれません。

気学の本命星も参考にはなりますが、ここはもう少し個人的な話なので、ちゃんと命式を出してみて、日干も参考にしてください。(自分の日干は空亡の章で出せます)
陰陽五行学は、九星よりも十干十二支が重要な話になるので、九星で全てを決めてしまわないようにして下さい。九星はあくまでも、陰陽五行から派生したものです。

次に、この表が何を意味しているか、が問題です。この五行の分類は、単純に性格を占っているわけではありません。どの五行が自分のウィークポイントを握っているか?という話です。

もし普段から風邪を引きやすいとしたら、あなたの五行は「金性=肺体質」です。しかしその結果、「あなたは神経質な人です」又は「楽天的な人です」という結果になるのではなく、神経質になったり楽天的になったりするという振り幅が、あなたの心身の状態を大きく左右することが大きい、という話です。
神経質なほうも楽天的なほうもあなたの特質であり、表裏一体でいつも心身に左右しているわけです。これが金性の肺体質である所以です。
しかし、自信があるかないか、という要素は土性なので、ゼロではないもののあまり強くは左右されないわけです。

一人の人間はいつも同じ性格や気分でいるわけではありません。金性=肺体質の人はひどく神経質になったり、或いは楽天的であったりと、金性が司る部分に影響が出ることが多いのです。ある程度気分が一定していれば、ほぼ金性の陽の性質=楽天的な人であるわけです。

躁鬱症という症状を考えてもらうと、分かりやすいでしょう。反対の性質というのは、ある意味で一体であり、表裏の関係です。つながりが深いのです。
このように見てくると、「この人は明るい人だ」という分類が、如何に頼りないものであるかが分かるでしょうし、また五行の性質の面白さも分かってくるでしょう。

そして、この表は、日常生活における色の使い方、衣服やインテリアや小物などに生かすことができます。腎体質=水性の人がいつもいつも白い服を着ていたら、だんだん潔癖症が強くなり、感性が鋭くなるのはいいとしても、どんどん怒りっぽくなってきてしまうかもしれません。もし仕事の都合で白衣を着ることが多ければ、せめてプライベートでは色のついた服を着てみると、気分が変わって良いでしょう。

また、インテリアや家具の色はそんなにいつも変えられるものではないので、できるだけ無難な色にしたいが、せめてワンポイントで自分の欠点をカバーできる色を使う、という方法もあります。

若い人の中には、家具は白で統一するという人もありますが、白という色は一般的に見て感覚が鋭敏になり潔癖症の傾向が出てくるので、家具としてはあまり良い色ではありません。もしパニック障害の方がお部屋を白い家具で統一していたら、考え直してみる必要があるかもしれません。

このように、この表は使い方次第で、いろいろと応用できます。どんな時にどんな使い方をすると効果的か、自分の生活や心身の状態にあわせて考えると、もっと良い生活環境が構築できるでしょう。

「2009年8月記述」

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