写経に必要なもの


◆用具のいろいろ◆

写経用紙・高級なもの

【写経用紙】
料紙と呼ばれる、和紙を使います。
和紙にはさまざまな種類がありますが、表面がわりあいサラサラして、墨の滲みの少ないものを選びます。

デパートや大手文房具店で「写経用紙」といって尋ねれば、さまざまなものを売っていますが、あまり凝ったものを買う必要はありません。

金泥を使って書く、一枚何千円もするような贅沢なものもありますが、一般の方がそんな奢を競うのは、本末転倒になってしまいます。

最初は写経用紙で短いものを書いて、馴れて長いものを書かれるようになりましたら、障子紙として売っている巻紙を使うのがよいでしょう。
障子紙にもいろいろありますので、薄手のなるべく目のつんだ毛羽の少ないものを選んでください。巻紙は、仏具店でも扱っているところがあります。あまり厚手のものは、せっかく線を引いた下敷きを作っても透けて見えませんし、目の粗いものは墨が滲んだりします。

紙質は使う墨の種類と書く人の筆圧や墨の出具合によって、それに合った用紙を発見していただくのが一番です。いろいろ試してみて、自分に合ったものを使うようにして下さい。


巻紙・筆ぺん・勤行経典

【筆ぺん】

持っていて使い馴れている人は、もちろん硯と墨を使って結構ですが、いちいち墨を磨るというのでは、忙しい人はなかなか手がつけ難くなります。そこで現代人には、筆ペン写経をおすすめしています。

ただし、筆ペンにはメーカーによっていろいろな種類があり、写経には向かないものもあります。フェルト製でなく、ちゃんと筆状になったもので、インクカートリッジの取り替えがきき、細字用のものが向いています。
インクも墨液、顔料インク、染料インクなど、どれでも構いませんが、使ってみて自分に合ったものを見つけて下さい。紙と筆の関係、書く人の筆圧などによって微妙に違います。

筆者が使ってみたところ、写経に使うのは和紙用の筆ペンは墨が出すぎる傾向がありますので、普通のもののほうが良いようです。


【写経机】正座でも椅子でも構いませんが、きちんと背を伸ばして書き易い高さの、かつ落ちつける場所を選んでください。 できる範囲でかまいませんが、なるべく壁を背にして座り、入り口や窓には背を向けない方が落ち着きます。
仏壇や神棚のある家でしたら、そちらに向かって座るのも良いでしょう。ただし、仏壇、神棚は目より高くなるようにしてください。


蛇足ですが、正座で座布団を使用する場合は、なるべく固い木綿ワタの、ぺちゃんこに潰れた薄い座布団のほうが、足が痺れません。フワフワの座布団ですと足全体の血行が悪くなり、すぐに足が痺れます。この際、少しづつ正座に慣れるのも良いかもしれません。


法華三部経(平楽寺書店)

【手本の経典】

仏具店か書店の宗教書コーナーで、「日蓮宗勤行経典」関西では「法華宗勤行経典」といって探して頂ければ、現物が見れるでしょう。
この中に、法華経の主要な部分は入っています。訓読のものと音読(真読)のものがありますが、写経には真読のものを使います。
訓読のものは、読んで意味を理解できるのが利点です。勤行経典には両方入ったものもあります。

法華三部経というのは、妙法蓮華経二十八品(章)+開経+結経のことです。
書名にしますと、「妙法蓮華経並開結」となっています。
全巻入りのぶんはなかなか見つからず、あっても価格が妥当かはなかなか判別がつきませんが、現在、偈文だけは当サイトにアップしてありますので、ご利用下さい。

文庫本(岩波文庫・法華経全三巻)もありますが、写経手本にするには、少々物足りません。
仏具店のものは、装丁によってずいぶん価格が異なり、振仮名のついていないものもありますので、よく見てお求めください。

ただし、仏具店というのは、特定の宗教や地域のお寺に付属している場合が多いので、日蓮宗、法華宗のお寺の近くで探されるのが確実です。妙な宗教団体の近くの仏具店には、行かないようにして下さい。
一番確実なのは、お近くの法華宗、日蓮宗の本山クラスのお寺に参拝に行かれ、その近くの仏具店に立ち寄られることです。そうずれば、変なところには迷い込みません。

大手書店では、読経のカセットテープとセットで売っている場合もあるようですが、このテープの方は初歩すぎて、読経の醍醐味を伝えるものはほとんどないようです。

従来の旧カナ遣いのものでよければ、平楽寺書店版が確実です。
新カナ遣いのものがあるのは、大八木興文堂版です。ただしここも、要品(抜粋版)は旧カナ遣いです。

袱紗に包んで大切に

日蓮宗、法華宗などの寺院では、写経セットなども販売している場合がありますので、お尋ね下さい。一般には、観音経の手本はなかなかないようです。

前にも述べましたが、仏教書や参考書を入手する際に注意すべきことは、できる限り誰かの書いた解説書を買わずに、仏典そのものを読むように心がけることです。
原文が分かりにくければ現代語に直したものでもいいですが、妙にくだけた自分なりの解釈の書かれた本や、特定の宗教団体で出版された本に傾かないほうが良いでしょう。


文責:タオ<コピー・無断引用禁止>

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