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究極の応対術



眼に宿る力を知る

今回は、少し高度な話になります。
人間の外見で、一番大切な部分は眼です。性格も、思考も、感情も、すべて眼に現れます。これをよく観察できれば万能ですが、じつはこれは、言うは易く行うは非常に難しいことです。

易しい方法に関しては、別の章(角氏と丸氏の丁々発止)で少し触れていますが、この章では原則、本筋というか、かなり達人に近い技を紹介します。
今すぐには実践できなくとも、こういうものだということを知っておくだけでも役に立つと思います。

眼の使い方に関しては、多くの秘伝があります。
特に、生死を分ける武術の世界では、技の上達と眼の使い方は深い関連があり、非常に大切なことです。

特に、剣道家というのは、眼の良い方が多いものです。
よく注意を受けることですが、「どんな場所でも、どんなに遠く離れていても、剣道家を見かけたら、必ず挨拶しておけ」と言われます。
チラッと見かけただけだし、相手はどうせ気づいてないだろうからまあいいや、と思っても、必ず気づいているから、という意味です。武道、武術と言うのは生産的な世界のことではないのに、実社会においても非常に学ぶべきことが多いものです。

まず相手と向きあう時ですが、世間の常識は、相手の目を見るということになっています。
あまりに直截に目を見つめるのがはばかられる場合は、相手の胸元よりちょっと上をみつめます。

しかしこれも厳密に言うと、目そのもの、右の目や左の目を見るのではなく、目と目の間、眼間(めけん)を見るのです。

その時は力まずに、ゆったりとした和眼で見るように心がけます。相手が快く感じ、利害関係の話で会ったとしても、自然と警戒心が雲散霧消するようなまなざしでいられれば、最高でしょう。

なかなか大変なことだと思いますが、大切な場面であればあれほど、自分がどんな印象を相手に与えるか、どんな顔つき、目つきをしているのか、鏡を見てみることが大事です。
いかにも、決死の覚悟で敵地に乗り込むような顔をしていては、相手は今にも取って食われそうで、一目散に逃げ出したくなってしまうでしょう。
もちろん、気合が入っていなければ話にならないでしょうが、あまりにガツガツした感じ、隙あらばつけ入ってやろう、というような感じを与えるのはいけません。

目と目の間を見つめるのに慣れたら、今度は物理的な相手の顔や体や目を見るのでなく、相手の体を透かして、相手の背後を見るようにしましょう。
目と目の間を透かした、後頭部を見つめるような気持ちで見てみましょう。少し訓練が必要でしょうが、これも、剣道の心得のある方にはよく理解していただけると思います。

剣道の試合でなく一般の方がこうすると、相手を包み込むような、深みのあるまなざしになります。
これは自分自身がリラックスして、相手とものごとを客観的に深く見つめるような気持ちでないとできませんので、簡単なことではないでしょう。人間的な修養が必要になります。
何か稽古ごとやスポーツをなさっている方は、その中で訓練されると良いでしょう。


「八方目」を試みてみよう

この、相手を見ずに背後を見る術の延長として、八方目(はっぽうもく)という秘伝があります。これは中国武術の言葉です。

相手の目を見つめているのですが、本当は相手の目を見つめたまま、眼球を動かさずに、相手全体、心理状態、上下左右、四方八方、周囲の状況までを、自由自在に見るという方法です。
なんだか当たり前のような気もしますし、訓練しなくても自然とやっている人もあります。しかしこれを意識的に、どんな状況に追い込まれても、どれほどの緊張状態でもできるようにするとなると、一筋縄ではいきません。

これは日常生活の中でも訓練できますし、役に立ちますので、是非実践してみてください。
電車やバスの中で読書している時など、本を見ながら隣に注目してみましょう。この時、なるべく眼球を動かさずに、周囲の人の服装、持ち物、行動、心理状態、いろんなことを観察してみましょう。
駅や電車の中でも、ちょっとした諍いで事件が起こったりする、物騒な世の中です。
しかし、いたずらに怖がって危険を避けようとしたり、漫然と時を過ごすよりも、こういう訓練を心掛けてみられると、満員の通勤電車もさほど苦にならなくなります。

この訓練が進んできますと、やがては相手の年齢、職業、性格、家族構成、趣味、金銭状態、未来までも分かるようになります。
こうなると神業ですが、一番の目的は、こういう訓練を通じて自分自身にゆとりと落ち着きが生まれ、時と場合に応じて、的確な判断が出来るように成長する点でしょう。
居ながらにしてする、武道の稽古でもあります。


奥の手を使ってみよう

以上述べたことを、交渉にあたっての武器の一つとして、使ってみることにしましょう。

目と目の間を見つめるように述べましたが、今度は、目と目の間から視線をほんのちょっと下げて、鼻と鼻の間の一番窪んだ部分をじーっと見つめてみます。
ここは、人相学では山根(さんこん)という部分です。この山根というのは、じつは一番「被暗示性」の強い部分なのです。

相手に自分の魅力をアピールしたい、また、どうしてもこの点だけは譲れない、ということを話す場合には、この人間にとっては心理的なアキレス腱である、山根をじっと見つめて話しましょう。
ここをじっと見つめると、相手は何となく自分の心の奥底まで見つめられているような気持ちになります。どことなく弱味をくすぐられているような気持ちになりますので、眼の使いかたと話術がうまく一致すると、少々困難な要求も通るようになります。


眼力即人間力

しかしあくまでも、今述べたのは小手先のテクニックであって、最後は眼力です。
この眼力というのは、総合的な人間力が眼から発散する結果、あらわれるものであって、強烈な霊力の磁場でもあります。

この眼の念力にも、二通りのタイプがあります。
一つは、いかにも強烈な眼力が、眼から直接ほとばしり出ているタイプ。もう一つは、ヌーボーとしているようで、どことなく奥深さを感じさせるタイプです。

前者のタイプは誰でも「あ、強い眼力を持っているな」と分かりますが、後者の場合は相手によって変化するのが特徴です。
弱いのかと思えば何となく強く、強いのかと思っても強さをはっきりアピールしないので、どこまで強いのかわからないタイプです。

この眼力、眼から発散する霊力、念力が人を動かすわけです。
実力があるのに、どうも肝心な時にものごとがうまくいかない、という方は、このことを覚えておいて、いざという時には念力を強烈に発散するように、心掛けてみましょう。

しかし、悪心をもってこの念力を使おうとしますと、必ず自分に見返りが来ます。私利私欲、悪念、邪念を捨てて、自分の使命、大義によって交渉にあたること。これが肝心です。
そうすれば、必ずや本来のあなたの以上の力が発揮できるでしょう。

その力を貸してくれるのは、人間なのか、ちょっとしたツキなのか、別にどっちでも構いませんが、正しい動機、正しい方法で行われる「わざ」には、必ず、眼に見えないプラスアルファの力が働きます。
これを運と呼ぼうと神通力と呼ぼうと、それは構いません。要は、それを呼び込む本人の価値です。願わなくとも、価値のある人には天地自然、神仏の加護があります。


スキンシップがものを言う

最後に、スキンシップについて触れておきます。
このスキンシップというのは、相手と親近感を深めるには是非必要なものです。誤解のないように言っておきますと、直接相手に触れるばかりがスキンシップではなく、相手との距離のことを指します。
むしろ、かなりの好感を持っている異性ででもない限り、他人に体を触れられるのは、不快な場合が多いものです。

時と場合にもよりますが、人を説得する時は膝をつき合わせるような距離が理想です。
特に目上の方が目下を説得するのにこうされますと、相手は非常に、親近感と信頼感を抱き、ひとつこの人の為に精一杯働こう、という気持ちにさせられるものです。

それから声も重要です。世の中には、立板に水を流すという表現がぴったりの、手八丁口八丁の人があります。
しかし、会社や取引先で営業成績の良い人を、思い浮かべてみてください。それも中途半端な成績でなく、ズバ抜けて成績の良い人、大きな仕事を取ってくる人を探してみてください。
案外訥弁で、ボソボソと喋る人なのではありませんか。

これは筆者が良い実例を知っています。
だいぶ前の話ですが、コカコーラの営業でアジア地区一位の方が、この訥弁のタイプでした。
地味で全然目立たないタイプの方ですが、ちょっとはにかみながら、小さな低い声で話されます。
聞いている方は、上の空でいては聞き取れませんので、その方に注目して、熱心に耳を傾けざるを得ません。しかも、話にはしっかりした内容がありますので、他のことなど考える余裕がなくなります。

実はこの方は、筆者が知っている中国拳法の先生です。
コカコーラでピカ一の営業マンだったと聞いて、一瞬意外に思いましたが、よく考えてみると、なるほどな、と納得したわけです。
中国拳法は能書きが多く、まず理論を理解してからでないと習得できないところから、営業活動とも共通点があるのでしょうか。コカコーラの営業で貯めた資金で、中国拳法の道場や合宿所を購入されたそうです。

人間は、利害のからむことに関しては特に警戒心が強くなりますので、いかにもやり手、というタイプに対しては、どこか潜在的に反発があるものです。手八丁口八丁の人が出てくると、これはうまく乗せられて損をするのではないか、と思ってしまうものです。
能弁が肝心と思っておられる方は、一考の余地があると思います。

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