観相術入門:目次


腹について


腹に関しては、特に女性は一考を要するのではないでしょうか。お腹の脂肪を目の仇にするあまりに、ウエストサイズの縮小に身をやつすのは、ひょっとして自ら運勢を落とすことになってしまうかもしれません。
確かに現代生活はメタボリックシンドロームの危険が大きいので、内臓脂肪の注意は必要ですが、ある程度の脂肪は必要です。筋肉モリモリのマッチョマンで、年がら年中風邪を引いている人が居ますが、体脂肪が一定以下に減ると、抵抗力が落ちて風邪をひきやすくなります。
脂肪は外界から身を守る為のガードという面があるので、あまりに体脂肪を目の仇にするのは感心しません。健康体重を目指すのは良いことですが、無闇に美容体重を目指して、健康も運勢も落とすのでは何にもならないという気がします。

ここでいう、腹が豊かで丸いというのは、メタボ体型のことではなく、内臓がたっぷりと健康に発達して、よく活動している、ということです。
栄養士だか美容コンサルタントだかの先生達もよく、余りに細いウエストでは、内臓はまともな状態ではないので、しっかりと食べて下さい、と言っておられます。

少し話がそれましたが、質疑応答の中に「胸落ちが高くて腹の小さい者が、胸落ちがへこみ腹が大きくなると、物事に満足できるようになった事をあらわす、というのは何故に?」というのがあります。
その回答は「肝臓の力が盛んで心が胸隔に留まると、胸落ちが高くなる。それが心が丹田に収まるようになると、胸落ちがへこみ腹が大きくなる。心が丹田におさまる時は、人間社会がよく見え、天地自然と一体となることができ、物事に満足がいくようになる」となっています

ハト胸が良くないとか、腹は大きくて丸いほうがいい、とか、それだけ聞いても理由が分かりませんが、これならば分かります。「なんか胸につっかえて気持ちが悪い」「腑に落ちた」というように、日本語にはなかなか含蓄がありますが、かつ実際的な面もあるということです。
ハト胸の人は、何か不平不満とか悩みなんかが胸につっかえて、固くしこっているということになります。ということは、修養と心がけ次第でハト胸も治る可能性がある、ということになります。


臍について


臍に関する話は面白いな…と常々思います。臍は男女ともに、生れ落ちた後は既に、役目を終えています。別に、内臓とつながっているわけでもありません。それなのに、臍の占いとか、臍で健康状態を観る、という話が少なくありません。

その理由は、推測の域でしかありませんが、臍の形と状態によって、お腹の形や内臓の状態が何となく分かるからではないか、というのが一つ。
それともっと大きな理由は、臍の状態で出生時の状態が分かるからではないかと思います。十月十日をたっぷりと胎内で過ごし、よく育ってから元気に生まれてきた赤ちゃんと、未熟児で生まれ、誕生後も病弱でちゃんと育つか危ぶまれる赤ちゃんとでは、臍の形も違うことでしょう。

例えて言えば、スリ傷を作って薬を塗って、それが十分に完治するまで放っておくと、自然とかさぶたが取れて跡も綺麗です。しかし、治らないうちにかきむしってしまうと、かさぶたは綺麗に取れず、傷のほうもいつまでも治らず、皮膚に跡が残ったりします。臍というのも一種の傷跡なので、十分に育ちあがった赤ちゃんの臍と、未熟児の赤ちゃんのへそは違うのではないかと思います。

へぇそぅ学も、こういうところを発端としているのではないか、と思うのですが、真偽のほどは定かではありません。
もし、自分か子供の赤ちゃんの時のへその緒を桐箱に入れたものをまだ持っている人があったら、自分のおへそとへその緒を見比べながら考えてみるのも一興でしょう。

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