ホラー映画が大好きです。
たぶん主なものは片っ端から見てしまって、後はそうとうマイナーで、手に入らないタイトルしか残ってないかも。新作が待ち遠しいです。
息子の奥さんに、なんで二人とも(私と息子)怖い映画が好きなの…と言われてしまったり、他の人にも、わざわざお金と時間を使って怖いものを見たい気持ちが分からない、などと言われたりもします。
なんで、でしょうねえ?私も分かりません。
でも怖がって楽しむのは、人間ぐらいのもんじゃないですかねえ。
ホラー映画マニアって、けっこう多いような気がします。
私も若い頃は、ホラーなんか好んで見るのは変な奴だ、と勝手に思っていましたが、映画を沢山見るようになってから、一番好きなジャンルがホラーになってしまいました。
ホラーたってジャンルは多いですよね。
オカルトからスプラッタから、モンスターやディザスターパニック、ゾンビものや強烈なゴアもの、サイコホラーまで。
最初はスプラッタは苦手、とか思ってましたが、けっこう慣れるもんです。
そんなん、わざわざ慣れる必要ないよ、と言われそうですが、画面の強烈さのせいで、面白い映画を敬遠するのは勿体ない。
特に好きなのはディザスターパニックとか、サメ映画、蜘蛛映画、ワニ映画なんかの単純なもの。
私ってこんな人間だったのか?と自分で自分に疑問が湧いてきます。
でも一方では、「テオレマ」とか「愛の嵐」とか「木靴の樹」とかも大好きなので、これが同一人物の好みとは、思えないかもしれません。
昔は映画はそんなに沢山見れなかったので、小説で楽しんでましたが、そう言えばけっこう怪奇小説の蔵書、多いですね。
ミステリーのファンって多いと思いますが、怪奇小説のファンも多い筈です。
国文学では雨月物語なんかが好きな人も多いし、幻想と怪奇なんて雑誌も好事家が多いし、現代ではスティーブン・キングのファンの多さを見ても、やっぱり人気があるんだと思います。
キングを読み尽くしてしまった後は、ディーン・クーンツとかジャック・ケッチャムとかにも手を伸ばすだろうし、面白いものは面白い。
それが手を広げて映画に行ったとしても不思議ではないと思いますし、私はそんなに映画と小説の区別はしていません。
でも、どっちかというと、見てから読む派。
だって、小説読みながら頭の中で描く映像って、作り物の映画とは比べようがないぐらい、果てしなく壮大で芳醇なので、後から映画見たってガッカリする率が高いのです。それでも、映画化されたらつい見ちゃうんですが…。
ラヴクラフトの「ダンウィッチの怪」なんて、小説は稀代の大傑作なのに、映画は見られたもんじゃありません。そりゃそうです。あの小説のおどろおどろしい雰囲気は、行間から漂ってくるもので、映画の画面では無理です。
なーんて書いていたら、またダニッチ・ホラー読みたくなってきた。
でもまだ、前に読んでから十分な時間が経ってないので、かなり覚えています。もう少し我慢したほうがいいかも。
だって、せっかく面白い本を読むのに、前に読んだのを覚えていたら、面白さを殺がれます。だから私は、面白い本や映画は何とかして早く内容を忘れてしまい、時間を置いてからまた見るのです。
これは昔から習慣になっているので、面白い本は何度も何度も読み、映画も何度も見ますが、やっぱり映画のほうが飽きるのが早いようです。
ここからは差別発言になりますが、まあ特定の人の悪口を言うわけではないのでご容赦を(頭の中では何となく、思い描いてたりしますが)。
ホラーの中でも、よろしくないな、と私が勝手に思うのは、ジャンルで言えばサイコ…ではなくて、もう少し軽い…たぶん皆さんがホラーだとは思っていないジャンルでしょう。
普通の人の、陰湿な丁々発止とか、分かっててわざと意地悪な行動をするようなタイプ。あと、感情むき出しの八つ当たりも怖いです。悪感情に振り回されて弱い者に当たり散らすとか、それ完全なリアルホラーです。
たぶん、これだけでは作品になりにくいので、これというタイトルを思い出せませんが、現実にはけっこう居ますよね。
なぜかこの手の人は、ホラーの話などしていると、顔色を変える人が多いような気がするのですが。たまに、無理に話に加わってきても、拒絶反応起こしてるのが顔色ですぐ分かります。
当人がホラーそのものなので、ホラー映画とはガチンコするのかもなあ、と勝手に思ったりします。
でも本物のサイコパスだったらそんな反応しないでしょうから、やっぱり弱い人なのでしょうか。
むろん、あんまりホラーを見たことがなくて画面が怖いだけ、という人は別ですので、お気になさらずに。
なんでこんな話を書き始めたかと言うと、私はどうしても、映画を見る時に、舞台設定の中でも、住宅の作りに注目してしまいます。職業柄もあるにはありますが、ある時にふと、これに気づいてしまうと、面白い映画が更に面白くなってしまったのです。
ちなみに私は、事件があったり気になる有名人が居ると、命式を調べて勝手に納得したりしてます。仕事と直接の関係はないのですが、自分なりにニュースの裏を取って、より掘り下げたい、という意味もあります。
こういうことをしていて発見したのは、いろんな著名人の中でも、一番能力が高くてしかもバランスの取れているのが、映画監督だということです。
能力というのは、通信鑑定メニューでも紹介している通り、「知力、実務力、実行力」の三本柱に分類しています。
四柱推命の通変星を分かりやすくしたものなのですが、能力分布を見てみると、どういう職業か、というよりも、どういう仕事のしかたをする人なのか、だいたい分かります。
皆さんはたぶん、実行力、大事だよなあ、など考えると思いますが、サラリーマンの方は、実行力は著しく劣る…と言って悪ければ、他の能力よりも低い人がほとんどです。
むしろ、サラリーマンは、実行力が旺盛では困るのです。実行力のある人は、上司の指示なんか待たずに、さっさと行動してしまいます。それではサラリーマンは勤まらないのです。そういう人はさっさと独立してしまいます。
馬鹿々々しい指示であっても忠実に従うのが、優秀なサラリーマンです。
国によっても違うのではないか?創造性を育てる教育に力を入れている国もあるし、と思うかもしれません。しかし、多少の違いはあっても、みんなが創造力豊かで行動力に富んでいたりしたら困ります。一部の創造力に富んだ人は、黙って忠実に従う部下が居ないと、全部自分の手ではできません。
しかし、行動力に富んだ人が独立しても、他の能力とのバランスが取れていないと、成功するとは限りません。そもそも、中小企業のうち、設立10年以内に倒産する確率が90%という統計が出ています。20年生存率は0.4%、30年生存率は0.02%。
ということは、30年もつ会社はほぼゼロだということです。
起業というのはかくも厳しい、という現実がありますが、筆者の立場から見ると、厳しい現実をどう乗り切ってゆくか、という問題は、当人の能力バランスと多いに関係があります。
頭がよくてアイデア豊富で行動力があっても、現実的な実務能力が足りないと、うまくいきません。自分の好きな仕事で生きていきたいと、夢を見て起業、独立してみたものの、実際にはほとんどお金の計算と雑用で終わった、という状態は当たり前です。
統計では10年、20年、30年というキリの良い数字が基準になっていますが、筆者の見たところ、9年、18年というサイクルのほうが当たっている気がします。
話が遠回りしましたが、1人の人間の能力には限りがあり、しかし何かを成し遂げようとすると、とてもいろんな種類の能力が必要になります。
その能力バランスが一番取れていて、しかも全部の能力の絶対値が高い人が、映画監督にとても多いのです。経営者や政治家よりも、ぶっちぎりで映画監督の能力が優れている、というのは面白いところです。
もともと、映画監督として長く映画を撮り続けている人は、絶対数が少ないですが、仕事の内容から見て、架空の世界を実写にするというのは、並大抵の仕事ではないというのは想像がつきます。
癖のある人間を大勢動かさなければなりませんし、大道具小道具、物理的なハードルも高いでしょう。おまけに、一番大変なのは金銭面です。映画なんて、一作当たれば大きいですが、一作失敗すれば会社が倒産するという、壮大な興行ギャンブルという側面もあります。
そんな中で制作を続けているのは、相当に能力が高く、しかもバランスの取れた人物に限られるでしょう。
一番驚いたのは、どうも苦手な作風なので敬遠していたデヴィッド・リンチ監督。
リチャード・ファーンズワースのオジサンが好きなので、ストレイト・ストーリーを見て、後でこれがデヴィッド・リンチ監督と知ってビックリ仰天。
やっぱり、あんなシュールレアリズムばっかりやってるのに、万人向きの感動作をごくアッサリと作ってしまうんですね。映画監督、恐るべしです。
筆者が映画監督に対して、そういう印象を持っているせいかもしれませんが、映画の家づくり、舞台設定には、いつも感心させられること、しきりです。
このコーナーでも、他に「映画に見る風水・『ゆりかごを揺らす手』」とか「帝都物語」を取り上げていますが、その後も沢山出てきました。
「家は人なり」ですから、映画の舞台となっている家が、映画の内容と密接な関係があるのは当たり前です。しかし、良い映画は優秀な監督が、しかも風水を学ばずとも風水の原理の通りに作ったのだなあ、と思いながら見ると、また違う感慨があります。
風水で一番大切なのは「常識」です。日常に密着した、合理的な環境学を追及するのが風水ですから、特別なものではありません。
風水の原理に従ったからといって、おかしな使いにくい家になってしまうのは、どこか根本的な部分が間違っています。
きちんと学べば学ぶほど、そういうことが実感される筈です。しかし、身近な人から古人の智恵を教わる機会が減った今、系統だった風水学を学ぶもよし、その延長で、映画の中に風水の原理を見出すのも楽しいものですね。
映画の雰囲気や設定と、住宅の作りが、見事にマッチした映画を紹介しますので、是非楽しんで下さい。怖い映画が多いのはご勘弁を。
◆セクレタリー(スティーヴン・シャインバーグ)
舞台は弁護士事務所、思わず見とれてしまうカラフルなインテリアが見事で、目の保養になります。ジェームズ・スペイダー、オジサンになっちゃいましたが、セックスと嘘とビデオテープでは美青年でしたね。屈折した役をこんな風にこなせる人は、他に知りません。
◆愛がこわれるとき(ジョセフ・ルーベン)
原題:Sleeping with the Enemy。ガラス張りの家が印象的でした。お料理シーンを見ても、なんだか人間味が全く感じられません。ジュリア・ロバーツ、ちょっと退屈な女優ですが、映画としてはそこそこの出来。前半と後半で、ヒロインの棲む家の雰囲気が全然違います。
◆シャイニング( スタンリー・キューブリック)
建物が主役みたいな映画なので、こういう話題では外せません。キューブリック監督のこだわりは、好きと嫌いに関わらず、やはり凄いと思います。ジャック・ニコルソンが目立ちすぎですが、やっぱりテレビ版よりもこちらを。全長版をBDで見たいものですが。
◆黙秘(テイラー・ハックフォード)
単なる筆者の趣味ですが、紹介したくてウズウズしている映画です(笑)。キング映画の中では最高の出来だと思うのですが、知る人ぞ知る傑作なので、そっとしておきたいという気持ちも。キャシー・ベイツの家とお屋敷の雰囲気の落差が秀逸。島の景色と日食の光景が楽しめます。
◆家( ダン・カーティス)
悪魔の棲む家とかポルターガイストでは今更感が強いので、古い映画を紹介します。往年の二流俳優の実力が楽しめます。カレン・ブラックとかベティ・デイビスが好演。
◆ローズマリーの赤ちゃん(ロマン・ポランスキー)
だんだんゴシック系に連想が走り、つい思い出してしまいました。この原作の初版は、ラストの数ページを糊付けして「この封を切らずにいられたら、書籍代金はお返しします」という売り出しかただったと記憶しています。もちろん、読まずにいられるわけがありません。
作中の「プラム(アパートの名称)?また貸ししたい時は真っ先に知らせてね!気味の悪い鬼やら怪獣やらの”ひはし”が、窓から窓へ這い上がったり降りたりしててよ!」という台詞が、何十年もずーっと頭に残っています。
怪獣というか、「ガーゴイル」ですが、よく西洋の古い建物で、雨樋の飾りに使われていますね。日本でも龍とか夜叉とか狛犬が屋根瓦についていますが、洋の東西を問わず、門番は怖い姿をしているのでしょうか。
何故かアメリカ映画ばっかりになってしまいました。私はホラー以外ではイギリス映画とドイツ映画が好きなのですが、ホラーばっかり見てるので、アメリカ映画が増えるのでしょうか。
それと、ヨーロッパ映画はロケが多いのか、映画と風景がわりと溶け込んでしまっており、とりたててあーなるほど…と思うことが少ないのかもしれません。たぶん、ハリウッド映画のほうが、映画にあわせてセットを作ることが多いのではないか、と思います。ホビット荘もウォーターワールドもセットですし、タイタニックに至っては36億円のセットだそうです。
ヨーロッパ映画は、セットでは無理なものが多い気がします。木靴の樹もロケですし、ヴィスコンティやパゾリーニの映画のセット作るって、ちょっと想像しづらいような。ハリウッドでは通行人まで全部が役者なのに対し、ヨーロッパ映画では村の人をそのままエキストラに使ったりもあるようですし、映画産業の体制の違いでしょうか。
家にまつわる因縁話は、どこにでもありますが、その中に少しだけ、風水学的な見地を入れてみると、面白さもひとしおですね。
相変わらず余分な話が多くなりましたが、「家」にまつわる映画で面白いのがあれば、是非教えて下さい。
ダメだ、こういう話をしていると、またダニッチ・ホラー読みたくなってしまった。
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