風水の重要アイテム、樹木の話です。
樹木に関しては、もともと日本では高い樹に神が宿るということで、樹木そのものがご神体になっている場所が多いですし、世界各地でも、樹木にまつわる様々な話があります。
ロード・オブ・ザ・リングでも、樹木の守護神であるエントという独特の精霊が活躍していましたが、やはり樹木というのは、人間には親しみもあり、とても大切な存在なのでしょう。東洋運命学でも、十干・十二支のどちらも、植物が芽を出して成長し、葉を広げて茂っていく様を象形文字で表したものでしたね。
作者も植物にはいろんな思い出があり、人間を植物になぞらえて考えて運命学に応用するのも、なるほど、というところです。
前、WEB日誌に書いた話なのですが、少し興味深い話もありますので、植物にまつわるエピソードをご紹介した上で、風水学での植物の考え方を述べましょう。
植物は当然、生き物なので、人間と何らかの生命の係わりあいを持っています。有名な話ですが、どっかの国の実験で「お前、可愛いね、綺麗だねー」と褒めつつ育てた花は、可愛がらず褒めもしなかった花よりも見事な大輪の花を咲かせた、とかいう話もありますし、風水でも邪気を避けるのに観葉植物の鉢植えを置くのは常識みたいになっているようです。
前、筆者が中国拳法の道場に行ってた時のこと…正真正銘、目の前で見た話です。
ある生徒がどうにも肩が凝り過ぎて具合が悪くなってしまい、道場に来てはみたものの練習がうまくできない様子でした。そこで、拳法の先生はその人の痛い箇所に手を当て、邪気(?)を吸い取ったのはいいけど、そのままでは自分がやられてしまう…というので、その邪気(?)を逃すべく、とりあえず手近にあった鉢植えの植物(種類はよく分からないけどポトスだったような…)に手を差し伸べた…
と…その鉢植えはみるみるうちに、ほんとに目の前で教育テレビのビデオの早回しみたいに萎れてしまったのです…うっそー!ではなく、ホント…!
私は事情があって、その頃からあんまりその道場に顔を出さなくなったので、その植物がその後どうなったかは知りませんが…
もう一つ、これは完全に自分自身の話です。何年か前、住んでいたマンションが気に入らなくなり、荷物を減らして少し身軽になってから引越ししようと、身の回りの整理をしていました。
その時、パキラという熱帯の観葉植物の鉢を置いていたのですが、こいつが何とも丈夫でよく育ち、最初は小さなテーブル鉢程度のサイズだったのが、私の背丈に近いサイズまで育っていました。
ある日、荷物を整理しながらそのパキラをチラと眺め「う〜ん…こいつ、引越しするのに邪魔だなあ…もう飽きちゃったしなあ…もともと安かったし…」などと邪慳なことを心の中で考えました。独り言で口に出したかどうかは、はっきりとは覚えていません。でもいちおう、他の植物と一緒に、通常どおりに水をやってその日は寝ました。
さて次の朝起きてみると、そのパッキー君は見るも無残に茶色にしなびて、頭を垂れていたのです。今更、水をやっても陽に当てても肥料やビタミン剤やってもどうにもならないほど、クチャクチャになって死んでしまっていました。
この話をすると、それは既に弱ってたんだよ、とか、ずっと水やってなかったんだろ、と言われるのは分かっています。しかし、余りに見事なタイミング…というか…そういう通常の解釈を受け付けないほどの枯れっぷりだったので、自分のせいでパキラが絶望して自殺に至ったのだという、完全にオカルトめいた解釈しか出来ないのでした。
まあ私は昔から、意識せずにけっこう不思議なことをちょこちょこやってるらしく、それは例外なく、無意識にチラ、と思った時に起こるので、あまりオカルトだとも思いません。しかし、植物って本当に感情があるのだなー、と心の底から思った瞬間でした。
だから、植物といえど、家族同様に大切にしなければいけないと思います。また、植物なら何でも良いわけではなく、けっこう癖のある植物も多いので、自分の好きな、愛せる植物を身近に置いたほうが良いと思います。
と、そういう自慢話はさて置き、日本では家相学上、樹木に対してはけっこう細かな言い伝えがあります。日本では「言霊」(ことだま)が幅をきかせていて、語呂合わせみたいな話も多いので、由来を聞いてみるとなーんだ、ということもしばしばあります。
言霊も完全否定はしませんが、あんまり語呂合わせを鵜呑みにして気にするのは好きではないので、いろんな観点から見て、まず妥当だろうと思われる、大まかな傾向や考え方を述べておきます。
風水の原理は、「北高南低」です。つまり、樹木に関しても、北に高いどっしりした樹木があり、南側にはあまり背の高くない、灌木や花壇があるのをよしとします。
これは常識で考えて、北側は冷たい北風が当たるので、寒風を防ぎ、しかも冬になっても枯れて落葉することのない、幹のどっしりした常緑樹が向いているということです。常緑樹の多くは陽木ですから、陰である北には陽木を組み合わせる、ということです。一方、花の沢山つく植物や、幹が極端に頑強な皮で覆われているものは陰木とされます。
よく百日紅(さるすべり)が縁起の悪い樹とされるのも、幹が奇妙にツルリとして、何となく樹木の幹という親しみが薄く、生理的に合わない人が居るのだろうという気もします。それ以前に、百日紅はうどんこ病が発生しやすく、花のつき方も少しくどく感じるので、筆者は個人的には苦手な部類の植物です。
ソテツなども南国ムードいっぱいですが、葉も幹も尖ってザラザラと固く、近づきがたいものがあるせいか、陰木の代表的なものとされます。
全体に、花中心の植物は背の低いものが多くて陰の植物が多く、実の沢山つく植物も陰木です。種類別に覚えるよりも、水分の多いもの、花や実の沢山つくもの、つる性のものなどは陰木と考えると分かりやすいと思います。
ただ、どこもかしこも陽木を植えれば良いというわけではなく、北側はしっかりと陽木でカバーする。南側はあまり背の高い陽木は日差しを遮るので相性が悪く、適当に背の低い植物が向いている、というのが原則です。南側は花壇にするのも一つの方法ですが、花は枯れたまま放置すると凶相になるので、管理はそれなりにしなければなりません。
つる性の植物は緑のカーテンなどに利用される場合もあり、適度にあしらえばなかなか良い雰囲気のものですが、壁面全体を覆ってしまうのは、やはり陰の気が強くなり過ぎるでしょう。
自然界での陰と陽のバランスはなかなかよく出来ており、夏の野菜であるトマトやキュウリなどは体温を下げて暑さを和らげますし、冬に多い根菜類は体を温めます。花にしても、夏の花の代表である朝顔やクレマチスはつる性で陰の植物の代表です。やはりつる性であるスイカを頬張りながら、強い日差しに映える朝顔を愛でるのが夏の風物詩になるのも、理に適ったことなのですね。
このように、家相の全体的な考え方としては、陰の方位には陽木を、陽の方位には陰木を配置すればいいわけですが、この場合の陰陽は九星や十二支ごとに配当される陰陽とは少し違います。北は子ですが、子は十二支の陰陽では陽です。単純に十二支の表に書かれている分類とは違い、家全体の大まかな傾向として、北側は暗く冷たいので陰、南側は明るく暖かいので陽、ということです。
これが全体的な傾向と考え方ですが、特殊なケースや例外もあります。
例えば、葉にトゲのある植物は避けるのが原則ですが、北東に限ってはあまり大きくなければ、ヒイラギなどを植えても良い、というのがあります。いわゆる鬼退治、とでもいうところでしょうか。ただし…
×北東にはトゲの多い植物を沢山植えると良い
○北東にはトゲのある植物も植えることが出来る
ということですから、お間違えのないように。無理に欲張って沢山植える必要はありません。
もう一つ、北に赤い花のつく樹木を植えると、家族に精神病の者が出るとも言います。もともと、家の周りを赤い色の植物が多いと、何となく目立ち過ぎて、災いを招きやすくなる気がします。小高い場所に建つ家が目をつけられやすいのと同じ原理だと思いますが、同じ赤い花が沢山咲いていても、南側だとさほどでもないのに、北だと目立ち過ぎるということも一因になっているような気がします。
まだまだ細かい言い習わしは沢山あるのですが、理由も分からずに種類別に良いか悪いかだけを覚えてもあまり役に立たないので、上記の通り、陰と陽の組み合わせの原則、それに多少の例外を頭に入れておかれると良いでしょう。
しかし、北側に高い樹があるのが良いと言っても、あまり高く茂りすぎて、家が蔭になってしまうようでは逆効果になります。北側の樹木は、必ず適当な距離を取ることが重要です。しばしば、旧家で古い樹木が大きく茂り、家が常に日陰になってしまっている場合があるようですが、そうなると家運のほうも、だんだんと下降線を辿るようです。何事もほどほどが大切、ということでしょう。
このように家全体のバランスを考えると、植物の陰と陽は程よく釣り合っているのが好ましいのですが、それは家相じたいもバランスが取れている場合です。部屋の凶相回避法で植物を使用する場合は、ほとんどすべて陽木に限られます。これは、最近の住宅建築では、陽当り重視で北側に部屋が無く、水場になっている家が余りに多いため、南側を弱めるよりも、北側をカバーする必要のある家がほとんどだからです。
他の章でも述べましたが、北側は人間で言えば下半身なので、北側に部屋がなくて南側の陽当りの良い場所にばかり部屋を作ったのでは、いわば顔や髪型ばかり気にして、足腰が弱く地力の無い家であると言うことになってしまいます。
その為、家相改善に必要なのはほとんどが陽木です。つる性で水分の多いポトスなどは、<南側なら置くことが出来る>であり、必ずしも置いたほうが良い、ということではありません。どこに置いても差し支えないのは、ゴム科の葉の固い植物、松竹梅、柘植などの灌木類で、もちろん陽木です。
ただ、アイビーやポトスなど典型的な陰性の植物は、悪い暗示ばかりではなく、陰性の利点でリラックス効果があります。サンルームやリビングに適度にあしらうと、ほどの良いくつろぎ感が生まれるでしょう。
このように、いろんな植物の性質をうまく利用して、生活空間に生かしていくようにして下さい。
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