日本では、北東方位を鬼門と言って非常に恐れます。
ご存じの通り、日本は北東から南西にかけて長く、地形的にも空気の流れが出来やすいので、さまざまな気象条件からも、鬼門が問題になるのは頷けます。ここでは風水学上の検証に手を染めつつ、少し違う観点からスポットを当ててみましょう。
この前、めったにテレビをつけない筆者が、たまたま気まぐれでテレビをつけたら、ちょうど風水の特集をやってました。
(一般マスコミ上の風水の常識は、皆さんよりもぜんぜんないのですよ)
途中からだったのですが、ポイントは二つ。
・家相が風水学上凶相の場合、龍の置物その他のグッズを置くことによって、悪い影響が防げるのか?
・鬼門から裏鬼門にかけてのラインが開いていると本当に悪い影響があるのか?
これをなんだか、偉そうな本場の学者を引っ張り出して検証していたので、こっちはもっけの幸い「しめしめ」と思いながら見ていました。ご覧になった方も沢山いらっしゃると思います。
要点として、前者の答えはこうです。
風水には四正方位(東西南北)にそれぞれ守護神が配置されています。
東が青龍(せいりゅう)、西が白虎(びゃっこ)、北に玄武(げんぶ)、南に朱雀(すざく)です。
もともと、東の方位はこの青龍サマの縄張りです。東方位は、風水では開いているのが吉で、人が出入りしたり、窓があって空気と太陽の光が活発に出入りしたり、明るくて活動的で賑やかな相をしているのが、風水の原理に適っています。東玄関というのは、代表的な吉相の一つとされています。
龍神というのは、どうも性格が激しくて目立ちたがりと言われていますが、そのせいで賑やかなことが好きなのでしょうか。
ところが、もし玄関が東になく、北東にあったらどうでしょうか。風水の理から言えば凶相です。そこで便宜上、本来は東の位置にいらっしゃる龍神さまを、北東に引っ張ってこようと言うわけです。
真面目な話、本当に龍神さまを引っ張ってこられたらいいでしょうね。
でもそれは無理ですから、龍の置物を北東玄関に置いて、「ここは龍があるから東、東、東。何が何でもとにかく東!」と見立ててしまおうということだそうです。
龍神様、怒りませんかね?
だいいち、そんな勝手な人間の都合で、方位が変わる訳じゃありませんよね。この例だと、太陽も東でなく北東から昇って貰わなければなりません。つまり、グッズで家相が良くなるというのは、全くの事実無根ということです。
よかった。私の手間が省けましたので、今後グッズについては説明不要!
さて、少し話題が違う方へ行きましたが、いよいよ本題の鬼の話です。
さっき出た、「鬼門から裏鬼門にかけてのラインが開いていると悪い影響があるのか?」という問題です。
番組の検証では、いちおう分かりやすく気=空気ということになっていました。
鬼門と裏鬼門を結ぶ線が開いていると、そこに真っすぐ空気が流れます。一直線に空気の流れが出来るということは、その両側では空気の動かない部分が出来、澱んで動かない空間ができます。
ここにさまざまの雑菌や黴がはびこって、それが物の腐敗、病気などを引き起こすそうです。
そこで、一直線の線の真ん中に何かドアとか衝立とか、適当な障害物を置きます。そうすると、障害物の両側では対流ができて、全体の空気が循環し始めます。
まあ、いちおう納得できる説明ですね。少し物足りないような気もしますけど、建築上の解釈は、いちおうこれでいいでしょう。
でも、風水学ではなんで「鬼門」なんて大袈裟な名前をつけているんでしょう?
筆者が主に紹介しているのは、中国の風水ではなく日本流の家相です。むしろ盛んに鬼門、鬼門と言うのは日本なのですが。
そこで、「鬼」というものをもう一度考えてみましょう。
「鬼」という言葉は、日本では得体の知れない怪物の総称として使います。中国では主に、死者の霊魂という意味に使われます。この二つが合体して、非常に怖い、不気味なものの総称になりました。そこから、人間離れした、不可思議なものや力の表現にも使います。
さて、私たちの身近な日常生活の中に、果たして鬼なんているんでしょうか?
じつは、沢山いるんですね。
意地悪な人、借金取り、冷たい恋人などに「オニ!」と罵るのは別にしても、目に見えない不思議な、自分ではどうにもならない力は、身近に沢山存在します。
例えば、人間が風邪をひいた時、現代ではウィルスによって引き起こされた、一つの伝染病としか考えません。
しかし、別の表現=少々オカルト的な言い方をすれば、風邪のウィルス=「風邪鬼」「風邪魔」であり、目に見えない悪さをする小鬼のようなものです。風邪鬼が人間に取り憑いて悪さをしていると言う見方ができます。
人間が、普段から体を鍛え、強い意志を持ち、きちんと節制した隙のない生活を送っていれば、鬼のほうもなかなか手だしはできません。この鬼の元の飼い主は、香港の豚だったり、アフリカの猿だったりします。
そこで人間はいろいろ対抗策を考え、自然界の動植物の中から善鬼、善魔を探し出し、これを悪鬼、悪魔にやられた人間の体に注入して、戦わせます。ワクチンとか血清とか各種の医薬品、いろいろありますね。
表現の仕方はいろいろありますが、古今東西この世の中には、大小さまざまの、人間の目に見えない、さまざまの不可思議な生き物が跳梁跋扈しています。
むしろ人間の数よりも、その方がずっと多いでしょう。
この目に見えないが不思議な力を持った、手に負えない生き物を全て鬼と呼ぶならば、北東方面から烈風と共に侵入して来る、招かれざる客の出入り口が「鬼門」と呼ばれる理由も、何となく納得がいきます。
これらのミクロの小鬼が家の一画に巣食って、我が物顔に振る舞うとすると、これは大変なことです。
小鬼がウジャウジャと、手ぐすね引いて待っている場所で眠ったり食事したりすると、私たちの体も鬼に占領され、鬼の棲家となり果て、その結果が病気という現象となって現れるのも、無理のないことです。
さらに、この鬼たちのルーツが、間違った思想、肌合いの合わないもの、邪悪で強力なものだった場合、その被害はさらに甚大になります。
アフリカのある種の猿に巣食っていた小鬼は、エボラウイルスと呼ばれますし、サリン合成の好きな教祖の体内にウジャウジャしている小鬼は、オウムウイルスと呼ばれます。
鬼と魔が出ましたので、序でに説明しておきます。
鬼というのは、主に腕力にものを言わせます。体を張って行動する実行部隊です。
魔の方は、すこーし高度です。頭を使って策略を練ったり、鬼を手下に使って、自分は涼しい顔で高見の見物だったりします。
893が出入りという直接的暴力行為に出るのは鬼的な行動ですし、FBIのオトリ捜査は魔的な手法です。
ですので、身体的にダメージを受けるのは鬼にやられた現象で、精神的、頭脳的におかしくなるのは、魔に負けた状態です。魔の方がむしろ怖いかもしれません。哲学、思想、信条が絡んだことに関しては、必ず魔が動きます。
かなりオカルト的に脅かしてしまいましたが、身の回りには危険がいっぱいです。昔の人が、訳の分からないものを鬼と言って恐れたのは、別に迷信とばかりは言えないのかもしれません。いや、実際には、鬼と人間の戦いはちっとも変わってはおらず、言葉や認識のしかたが違うだけではないでしょうか。
小鬼を見つけだす精密な顕微鏡が発明されると、鬼のほうも賢くなります。素知らぬ顔で人間の一部のような顔をして、油断したスキにアッという間に仲間を増やしたりします。これに対抗するには、同じサイズの実行部隊を送らねばなりません。
自分の家に棲んでいる鬼を良い方に教育して、悪鬼と戦わせるしか対抗策はないんじゃないでしょうか。
ただ、間違えて欲しくないのは、鬼門は「鬼の入って来る場所」ということになっていますが、鬼にも魔にも、善と悪があるということです。鬼門からは悪鬼だけではなく、善鬼も両方入ってきます。
さて、善鬼と悪鬼が季節風に乗ってドドッと鬼門から入ってきたら、どこに行くでしょう。やっぱり鬼だって、落ち着き先を決めるのに、仲間や親戚を探します。オウム鬼に体質の似た鬼はオウム鬼の本拠地に行きますし、欲張り鬼は、もともと欲張りの人のところが居心地が良いでしょう。
社会や家族の為に馬鹿正直に体を張って働く人には、そういう性質の鬼が来ます。さらに、一念発起して社会の為に役立とうという気を起こした人には、軍勢が足らない場合は、縁のある人や神社仏閣から、善鬼の援軍を差し向けてくれます。
神社仏閣って、鬼の大群が棲んでいるのですよ。間違って、浮かばれない亡霊なんかがフラフラしてる時もありますけど。
逆に、悪い因縁のある神社仏閣に蠢く悪鬼、悪魔の大群が、良い容れ物になる人間を見つけた場合、反社会的な思想、行動を持つ新興宗教の教祖が生まれることになります。その元に集うのは、やはり同じウイルスの乗り移った仲間ばっかりです。そういう所に行くと、やっぱりウイルス=悪鬼、悪魔を貰って来ることになりますね。
「コンピュータウイルスって、人間にはうつらないんですか?」という真面目な質問があります。笑い話のようですけど、なんだかこれもひょっとしたら、ピンポーン!かもしれないという気がするのは私だけでしょうか。
人に迷惑をかけるのが楽しい、という思想を持ったウイルスがどんどん繁殖して、電話回線を介してネットに蔓延しているのかも知れませんよ。電子メールを介して来るウイルスだけでなく、あちこちの気違いじみたホーム・ページとか罵詈雑言の連なった掲示板なんかも、悪鬼ウイルスがウジャウジャしてて、うつりそうな気がしてしまいます。
暗示じゃなくて、ホントにうつる話をしてるんですが、実際のところ、無機物と有機物って、どこがそれほど根本的に違うんでしょう?
…って、やっぱり小学校の理科の時間に、机の下で小説読んでたせいでしょうか???
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