風水学講座:目次

祐気取りの実際



「祐気」ってなあに?

祐気取り(ゆうきとり)という言葉の意味が分かったようで分からない方が多く、祐気取り日には何をすれば良いのか、という質問もあるので、少し解説しましょう。

まず、祐気とは「良い気」「プラスエネルギー」のことですが、いわゆる空気とは全く違います。

プラスにしろマイナスにしろ、「」には大きく分けて二種類の考え方があります。

一つは万人に共通する気、もう一つは個人々々による気です。
万人に共通の気は「生気」と「死気」、または「律気」「呂気」といい、いわば、プラスエネルギーとマイナスエネルギーのことです。

もう一つの、個人々々によって異なる気が「木火土金水」に分かれます。
風水暦などで吉方、凶方を見るのは後の見方ですが、これにも、もう一つの「律気」「呂気」がかかわります。
一番簡単な見方では、午前中がプラスの気午後はマイナスの気になります。
短い祐気取りの場合は、必ず午前中に出かけて、プラスの「生気」を受けた方が良いことはいうまでもありません。

プラスエネルギーの働きとは、具体的に次のような働きがあります。
その人の生命力を高め、活動力を盛んにして、気の流れをスムーズにし、血液を清め、尖った部分を丸く、足りない部分をカバーし、外敵から身を守って暖かく包み込んでくれる役割をします。

このプラスエネルギーの満ちた方角に行って、しっかりとその気を受けて生命力と活動力を高め、運命を好転させるきっかけを掴もう、というのが祐気取りです。


徹底的な祐気取りは

まず一番大きな祐気取りは、引っ越しです。一時的でなく、ずっとその方角に行っているわけですから。
しかし、影響が大きいので、引っ越しに使える吉方はそう多くはありません。
その人の本命星によって、様々な条件を満たさなければなりませんので、吉方位の判断は慎重にしなければなりません。別に特別なことをしなくとも、引っ越しは最大の祐気取りです。


旅行なら簡単だけど・・・

次に、旅行に行かれた場合です。
この場合は一時的に行くわけですから、少し工夫が必要です。
なるべく、その土地の気を十分受けて来るために、その土地で採れたものを食し、大地と自然に多く接触するのが良いことは、いうまでもありません。
温泉に入る、海水浴をするなどは、効果の大きい方法です。


海外旅行って、その日に着かないけど?

海外旅行の場合、出発日と到着日がずれる場合があります。
これを心配される方が多いのですが、遠距離旅行・移転の場合、じつは日盤の方位はそれほど心配する必要はありません。
移転の場合は五黄殺、暗剣殺だけは避けるようにし、それ以外は厳密に見なくても大丈夫です。

旅行の場合は、なるべく出発日と到着日どちらも、五黄殺、暗剣殺にならないようにします。どちらかというと、出発日が吉方になるようにした方が良いでしょう。 また、いったん他の地域を迂回してから行く場合でも、自分の住まいから目的地への方位だけで判断して差し支えありません。

しかし、他の場所に回ってそこに泊まる場合は、たとえ途中経過であっても、あくまでもその場所に一泊旅行したことになります。また、別の場所を迂回したからといって、最終目的地の方位が変わるわけではありません。

しかし、一泊するなど、迂回した場所に一定時間留まる場合は、そこから最終目的地の方位が関係してきます。この見方は気学ではなく奇門遁甲になりますので、ここではこれ以上触れません。しかし、祐気取りが目的で行かれる旅行は、このような複雑なことはされない方が良いでしょう。

※奇門遁甲については、この章の後ろの方で触れています。


帰りの方位は?

従来、帰りの方位は全く無視して良いとされていましたが、実際には、帰りの方位もそれなりに現象は出るようです。これは、その場ですぐに現れて、すぐに消えるようです。これには反対意見もあるようですが、自分ではっきりした体感がありました。でなければ、こんなことは書きません。事が面倒になるだけですから。
ですから、五黄殺、暗剣殺など大凶方だけは、できることなら避けた方が良いでしょう。しかし物事はバランスですから、小さな凶意を気にして避けてばかりいると、大きなところでドン!とやられる、というのが筆者の意見です。細かいトラブルは引き受けても、肝心なところで(引越しとか)気にすればいいのではないでしょうか。
整理してみると、初動(行き)で大きな流れが出来るので、帰りの方位も短いサイクルでは影響するが、大きな流れの中に飲み込まれてしまう、という感じだと思います。これは気学の教科書にはなくあくまでも体感なので、参考意見です。


五遁の術なんていかが?

風水マニアの大好きな、「五遁の術」というのがありますが、海水浴などは水に入るわけですから、「水遁の術」の一種を実践していることになります。水も塩分も魚介類も、坎宮・水の性質です。
温泉であれば、「水遁の術」に「火遁の術」が少し混じっていることになります。
よく海辺の砂浜で、首まで砂に埋まっている人がありますが、あれは完全に「土遁の術」です。
吉方でやっていればいいのですが、凶方ではないかと、ひとごとながら心配になってしまいますね。

このうち、どんな方法を取っても良いのですが、要は、必ず、その方位に本人が行くということです。本人が行かなければ、効果は望めません。
もっと本格的なな五遁の術とは、例えば水遁の術であれば、申子辰の三合が引き合う原理を応用して、この三つの方位を家の三方位、旅行の方位に使用する方法です。これは、章を改めます。


「お水取り」は何のため?

よく、「お水取り」と言って、気学の団体などで、同じ日にまとまって神社などへ行き、水を水筒に詰め、土を掘って持って帰っている人達を見かけますが、あれは心得違いをしている方が多いので、あまり勧められません。

日帰りはほとんど効果はありませんし、水などはあくまでもその場で使用するものです。
「家に病人がいるので、その病人にとって吉方位の水を持って帰る」と言う方があります。
これは行った本人にとって吉かどうかの方が重要なので、そんなに安易な方法で病人が回復するということはあり得ません。

もう一つは、神社仏閣などの自然水を貰って行く場合は、その場所の神霊的影響が非常に強いので、やたらに水を取ったり、土を掘り返したりすることは災いを招きかねません。
特に、土を掘ることはその場所を傷つけることにほかなりませんので、逆効果になる場合さえあります。
森林などの木や土を取る場合も同じことです。
森林、山というのは、それだけで一つの神霊体であり、生命と意志を宿した存在ですから、自己の利益の為にそれを傷つけるなどは、とんでもないことです。
持ち帰りたいならば、そこで産出した鉢植えなどを、きちんと買って帰りましょう。

神社の水、井戸水など頂く場合は、必ずしかるべき人に、「お水を頂きたいのですが、どこで頂けば宜しいでしょうか?」と尋ねて下さい。多くの神社では、手水場とかお水取り用の場所をしつらえてあります。
しかし、どんな場合でも、墓、霊園のある場所の水、土は絶対に取らないようにしてください。


祐気取りは行かなければならないの?

これも意外によく尋ねられることですが、別に行かなければならないということはありません。行かなければ別に良いことも悪いこともありませんよ、と言うだけです。

ただ、いろんな人を見てきて興味深いな、と思うのは、行ったほうが良い人に限ってなかなか動かず、逆に、もっと地道に地に足をつけて頑張ることのほうが大事でしょう…と思える人に限って、頻繁に祐気取りに行かれている場合がある、ということです。
人間には移動運というものもありますし、動いた方が良い時期、動かないほうが良い時期があります。たまに、何ヶ月かごとに引越しをして、吉方に行く回数を増やしたい、という方があるのにはちょっと…はっきり申し上げて、これは気学病ですね。

ただし、筆者の通信鑑定をご利用の方の中で、過去に凶方で移転、旅行をしたがどうすれば良いか?、というご相談があります。
この時にお知らせする祐気取りだけは、万難を排して行かれた方が良いでしょう。凶方位を取ったままでいると、やはりその後のトラブルが心配です。調子が悪くなってから慌てて吉方を取ろうとしても、その時に吉方があるとは限りません。チャンスがある時に実行するに越したことはありません。


吉方を見つける……ここに注意して!

また、方位と方位の組み合わせによっては、今月は西、今月は東、とあちこち動き回ってはならない場合があります。

これは「破(は)」又は「定位対冲(じょういたいちゅう)」という象意の、働きの一つです。
特に北と南の定位対冲は作用が激しいので、注意したほうが良いでしょう。その他の方位にも、反対の方角には多かれ少なかれ、同じような意味があります。
凶方の影響を緩和する為の祐気取りには、この原理を利用することがありますが、必ずしもすべての場合に使えるわけではありません。東西南北の定位対冲のみは注意し、その他の定位対冲には、それほどこだわる必要はないでしょう。

本命が三碧木星、四緑木星の方などは、北と南が吉方で他にはあまり吉方がないため、この定位対冲にひっかかるケースが多いので、特に注意して下さい。
また、本命星五黄土星の方も、吉方位が多い上にその影響が極端に現れやすい星なので、あちこち行って逆効果になっている方が、時折見受けられます。

もう一つは日の選び方ですが、普通に言われているのは、「年盤と月盤と日盤が同じ日を選ぶと効果が大きい」ということです。
つまり、年月日で同じ中宮星の日には、全方位に同じ星が回って来ているので、他の要素が入らず、その星の性質と効果が強く得られる、ということです。

しかしこれも、私の研究では、あまりに同じ星を重ねて使いますと、星の性質やその方の月命との組み合わせによっては、吉とばかりはいえない場合が多いのです。


以上のまとめ……祐気取り(旅行)の時には

1、吉方位に、本人が一泊以上の旅行をする。日帰りは効果なし。
2、行った先では、その土地で採れた物を食べ、温泉に入るなどしてのんびりするだけで良い。
3、霊地に近づく時は、注意が必要。
4、近距離の場合は、出発日が吉方であること。遠距離・移転の場合は、年月の盤を重く見て、出発日は凶方でなければ良い。
5、帰りの方位は、可能な限り凶方だけ避ける。
6、初心者はあまり頻繁に、いろんな方位の祐気取りはしない。



奇門遁甲と九星気学

奇門遁甲について、少し触れておきます。一般的な九星気学の方位と奇門遁甲の方位の吉凶が異なるのを気にする方がよくおられますが、これは次のように解釈してください。
九星気学が個人の利益、幸福を追求するのに対し、奇門遁甲は軍学の一種です。諸葛公明が使ったことであまりに有名になりましたが、これはその場で一時的な現象を出すのを目的としたもので、あくまでも為政者のためのものです。

奇門遁甲の立向盤や坐山盤は、その場ですぐに効果が確認できるので、非常に当たったような気になり、凝ってしまうマニアが多いのですが、これには注意してください。その場で無理に効果を出したことは、後で必ず反動が来ます。筆者の意見と思っていただいて構いませんが、その場で結果を出すことと個人の幸福とは、また別の問題です。

筆者は現在のところ、奇門遁甲は個人にとっては、長い目で見てあまり重要視すべきものとは考えておりません。
これはこれで、また別の使い道がありますし、方位の象という観点からは、九星気学と奇問遁甲の両方で吉になるのが一番良いのです。双方が食い違った時には、九星気学(風水)を優先するようにしています。本命、月命、奇門遁甲など総合的に見て、真の吉方というのは本当に少ないものです。


「1999年頃記述、2004年一部改定」

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