十干と十二支を組み合わせて六十干支とするのはよいのですが、ここに問題がひとつあります。
東洋運命学、とりわけ四柱推命学の中で、この十干十二支の一番の問題点は、「蔵干」(ぞうかん)です。
聞き馴れない言葉だと思いますが、四柱推命の命式を出す時に、十二支がどの十干にあてはまるか、という計算をします。これが単純な表で割り切れるものではなく、どの程度まで解析するかはいろんな流派によって違い、もう計算したくないから最初から無視する、という人までいます。
ですが、インターネットではるばるこのサイトまでやって来たマニアック諸兄は、それでは納得されないと思いますので、どういうことなのか、という説明だけでもしておきます。
次に上げるのは、一般的な蔵干表、というか、大雑把に四捨五入した蔵干表です。四柱(年月日時)の命式表も簡単に出せますね。
ところが本当はこんな単純なものではなく、暦の問題と深くかかわってきます。
陽支 | 子(水) | 寅(木) | 辰(土) |
陰支 | 丑(土) | 卯(木) | 巳(火) |
陽支 | 午(火) | 申(金) | 戌(土) |
陰支 | 未(土) | 酉(金) | 亥(水) |
空亡という言葉があります。よく分からない方は「空亡の不思議」コーナーで詳しく解説していますが、この割り出し方は、比較的簡単です。
十干は十進法で、十二支は十二進法です。
そのため二つを順ぐりに割り振っていくと、十二支の方に二つ余りが出てしまいます。これが空亡となります。
しかし十二支が「木火土金水」「陰陽」どの性質に該当するか割り振ろうとすると、ことはそう単純にはいきません。
十干とはこの世の構成原理と要素、争いの配列、生産の配列という、どちらかというと哲学的、観念的な法則です。もちろん、天体の運行、太陽の位置、中国王朝の栄枯盛衰という現実的なこととも関連づけられてきました。
しかし、季節の移り変わりや生命の生長の循環を現す目的では、十二支のほうは天球の動きを観測しながら、より細かく計測されてきた歴史があります。
ご存じのように、一年とは地球が太陽の回りを一周する時間の単位で、月が地球の回りを回る時間が、一カ月です。
地球から見ていると、太陽と月が重なって見える地点が一年に十二あり、古人はこの十二の地点に、「十二辰」または「十二支」という名前をつけました。
この十二辰は、地球から見た時には、天球上の太陽の道筋(黄道)をちょうど十二分しているので、季節を現すことにも使用されるようになりました。
次の図のようになります。
またある人が誕生した時に、太陽がどの位置にあるかで運命を占おう、という研究もなされてきました。
これが二十八宿や紫薇斗数などの、東洋占星術になります。
さて、この十二支が十干のどの性質を持っているのか、なるべく正確に調べるにはどうするのでしょう。
例えば、11月は戌の月で五行はほとんどが「戊」(陽の土)ですが、季節は秋に近づき、「辛」(陰の金)が交じってきます。さらに、ここでは詳しく触れませんが、三合という原理があります。
これは、互いに引き合う性質の五行が、一番引力の強い位置にあるとき、互いに影響しあってある性質を生じるという関係です。
戌の場合、トライアングルとなる他の二辺から三合火局の影響を受けて、「丁」(陰の火)の性質を生じてきます。
これを、極力精密に計算しますと、戌の五行は「辛9.30」「丁3.30」「戊18.60」の割合になります。これが四柱推命で使われる、蔵干表といわれるものです。
皆さんにはあまり関係ありませんので、これ以上表など記載することは止めますが、このやりかただと、一カ月が31日で一年372日になり、正確な一年の長さ365.242197とは違ってしまいます。
実際は、各季節の長さは二十四節気といわれる暦によるのが正しく、これは均一な長さではありません。二十四節気では一年が365.25日です。
現代の一般的な太陽暦(グレゴリオ暦)は、季節や自然を全く無視しているので、運命学や自然現象を見る場合にはあまり当てになりません。
身近なことを見るには太陰暦の方がまだましで、これは一カ月が29.5日です。平均的な女性の生理の周期と一致します。俗に言う、赤ん坊の妊娠期間十月十日というのもこれです。
日本の旧暦は太陽太陰暦とも呼ばれ、太陽暦と太陰暦を折衷して調整したものです。
気学や風水では旧暦ではなく二十四節気を使いますが、二十四節気の暦を見ていると、月替わり(節入り)には、必ず雨が降ります。みなさんも、このサイトの節入り日を見て注意しておいてください。
十二支の話に戻り、この蔵干のように一月が31日という計算で使っていては、どこかに「ずれ」を生じてきますので、この蔵干表は絶対的なものとはいえません。
ですが現在のところ、これ以上に決定的に正確な蔵干表はないようです。
暦の研究というのは、素人にはなかなか手の出せない難問ですので、今のところ研究者の作成したものを使用するほかはありません。
運命学の中でも、暦の周期にかかわる蔵干のこのあたりが、突っ込んだ議論をしようと思えばできる部分です。
少し難しかったかもしれませんが、占いを鵜呑みにするのが嫌いで少し原理を知りたい、という方には納得していただけると思います。
暦の問題については、また別項に譲ります。
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