改名についての決定は、居住地の家庭裁判所が行います。
本籍が別の場所にある場合は、居住地で改名が決定した後、連絡がいきます。
改名は法的には、次の条例に依拠します。
戸籍法 第107条 氏名の変更
A、正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
107条の@は氏(うじ=姓のこと)の変更ですが、これはよほどの場合でなければ認められませんので、通常はまず無理でしょう。家族に大きな犯罪を犯した者がいて、そのままではとても通常の社会生活が送れない、子供の教育上、明らかに支障がある、などの場合は認められます。
名前の場合も、次の場合はすぐに改名が認められますので、吉名が決まったら、速やかに届け出をしましょう。
すぐに改名が認められるケース
◆だれが見ても、非常に汚い、読みにくい、人名にふさわしくないような名であること。
(原則として、熊、虎など動物の名前が入っている場合は、この対象になる筈です)
◆家族に同姓同名の人があり、実生活上不便な場合
(これは、出生届の時にチェックが入りますが、結婚、養子縁組などでそうなってしまう場合があります)
◆有名な犯罪者に同姓同名の人がいる場合。又は政治家、タレント、その他有名人などと間違われ易い場合は、立派な理由になります。
さて、ここで問題にしているのは、これ以外の場合です。
実は、姓名判断で画数が悪いから改名したいというのは、表向きまったく認められないことになっています。最近は少し緩やかになってきたようですが、原則として姓名判断で改名というのは、認められません。
この理由は、少し考えてみればすぐに分かるでしょう。
まず、姓名判断を認めてしまうと、多くの人が占い師の口車に乗せられて、改名する人が次から次へと出てきます。
それも一度で終わらず、あっちで見て貰い、こっちで見て貰い、何度も何度も改名するようなことになっては、社会的に非常な混乱をきたしてしまいます。
これは、脅しをかけては法外な鑑定料を取る占い師、詐欺師の暗躍の場を作ることになってしまいます。
また現在は、姓名判断じたいがさまざまな流派があり、画数の数え方からして全く違い、姓名判断を気にする人は惑わされ易い状況であること、などです。
姓名判断で改名した人の場合、その法的根拠は「通称として、長く使用しているため」という条項があてはまります。
このために大事なことは、次の二つです。
1、通称として、長く(5〜8年以上)使って、社会的に広くその名前で知られていること。
2、本人が、改名した名前をこのまま一生使うという意志が強いこと。
1、まず、必要な材料を揃えて整理します。
この時、大切なことは、
改名した名前で来た手紙、年賀状などを、年月日順、種類別に整理します。
これは、必ず消印の入ったものでなければなりませんが、入ってなくとも、それはそれで取っておいた方が良いでしょう。
2、住所のある市区町村の、家庭裁判所で改名の届出用紙を貰います。
この後、たぶん二度行くことになりますし、最初から資料はいりません。とにかく、一度行ってみます。
受付で、改名の手続きをしたいがどうすれば良いか、と尋ねます。教えてもらった場所に行くと、相談を受け付ける係員の方がいます。
その人に、「○年前から、改名した名前を使っており、ずっとこの名前を通すので、戸籍も変えたいのですが」と言い、どのくらいの資料が揃っているかを話します。
相手は慣れておられますので、個室でちゃんと教えてくれます。
たぶん必要な用紙も、この相談員の方がくれる筈です。
その時に何が足りないか、まだ認められそうにもない状況なので、もう少し経ってから出直した方がよいか、相談すると良いでしょう。
受付に用紙が置いてある場合もありますが、その場合でも、相談員の方の手が空いていれば、いちおう話して、相談に載ってもらいましょう。
3、用紙に全て記入します。かなり細かい項目が多いので、家で落ち着いて書いた方が良いでしょう。
4、記入済みの用紙と、自分で揃えた資料を持って、家庭裁判所の当該窓口に提出に行きます。この時、保険証などがあれば、コピーを取って行った方が良いでしょう。
5、提出してからしばらく経つと、家庭裁判所から何か連絡があります。
呼び出しがくる場合と、文書による問い合わせの場合があります。
ここで聞かれるポイントは、たぶん、何故名前を変えたかという理由だと思います。実際に改名した人に聞くと、「姓名判断で悪いので変えた」という理由でちゃんと通ったそうです。
この人は既に10年以上この名前を使って、年賀状も貯め、保険証も新しい名前で作っていたせいかもしれませんが、とにかく、ずっとこの名前を使うという意志を確認されると思います。
6、改名が認められましたら、家庭裁判所から所定の通知がきます。これは大切なものですし、何度か提出する必要が出てきますので、何枚かコピーを取ります。
そしてまず、本籍地に、電話で結構ですから、戸籍の変更がきちんと済んだかどうか確かめます。
次に、住民票、社会保険、年金関係など、証書を書き換えてもらう手続きを取ります。
役所の中も、あんがい入力ミスがありますので、自分のことは自分で確認しましょう。
以上のポイントを圧えて、首尾よく改名して吉名に生まれ変わってください。
前章の「改名の実際」とこの章は、2000年以前に書いたので、現在の状況とはそぐわない部分もあると思います。
最も大きな違いは、住基ネットが出来たことと、郵政省が民営化したことです。
従って、上記の方法で前は出来たことが出来なくなっている可能性もありますし、反対に意外にチェックしない部分もあるかもしれません。
しかし、皆さんの間でしばしば問題になるのは、(姓名判断で名前が悪いから変えたというと、ヘンな人だと思われるだけで、相手にされないだろう)ということです。
筆者は何人か、実際に家庭裁判所に行って改名の届けをした人を直接知っていますが、みんな異口同音に言うことは、「姓名判断で名前を変えるということでも構わないので、新しい名前を本当にずっと使う意思が固いかどうかを確認したい」と言われた、ということです。
表向き、姓名判断は認められないことになっていても、姓名判断は日本人の中ではごく普通に浸透していることなので、現実には姓名判断で改名する人が圧倒的多数です。
家庭裁判所で一番念を押されるのは、この名前を一生使う、という当人の意思が固いことです。その為、子供の改名が姓名判断ではなかなか認められないのです。
このような事情をふまえ、あまり警戒したり考え過ぎたりせず、素直に告げるというのも一つの方法です。(姓名判断での改名は認められないだろう)と思って生活していたら、認められないに決まっています。
筆者の見る限り、改名に成功している人は、あんまり神経質にならずに、素直に新しい名前になりきっている人です。いちいち「ここは改名した名前で大丈夫?」と確認しながら生活していると、なかなか改名の効果は出ません。
ここでいろんな場所での使い方を述べたのは、具体的にここではこうして使う、という方法を述べるだけが目的ではありません。
改名というのは、社会の決まりのグレーゾーンの中で行われる、ということを述べたかったのです。
グレーゾーンでは困るので、自分で確信を持っている人は白に引き上げ、あやふやな人は切り捨てる、という判断を家庭裁判所が行っているわけです。
あんまり気にしない人は、わりに楽にグレーゾーンを乗り切りますが、自信のない人はなかなかそれを乗り切ることが出来ません。
それよりも注意しなければならないのは、素人考えで改名しますと、吉名にした積りでも吉名になっていない場合が非常に多いことです。
特に、一般の方は画数だけを気にされることが多いようですが、画数と同じぐらい大切なのは「字義」です。また、音の響きや全体のバランスもありますし、女性名に至っては、いわゆる「後家数」として使ってはならない文字や画数があります。
姓名判断には流派が多いので、ある流派で吉名でも、別の流派の見方では凶名になる場合が多く、そうなるといったん変えても再度変えたくなる、という場合が多く、そういうケースは簡単には認められない、ということでしょう。
これらに関しては、当サイトは改名の専門サイトではないので、改名の際に個別にご説明しています。
※改名や名付けは大変なので、現在、改名はリピーターか受講生のみ、とさせていただいています。該当の方はご相談下さい。
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